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月とくれば

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昨夜、アシさんが送ってくれました。
8日、皆既月食だったんですねえ。
今、住んでるマンションの部屋からだと、月が見えないんですよね!

で、他の方があげてらっしゃる画像で見てみました。
赤い❗️(^ ^)神秘!!


月といえば、
もうすぐ高畑勲監督の『かぐや姫の物語』
Blu-rayが発売されるので、楽しみです(´∀`)音譜
速攻予約入れましたよ!!

今更ながら、語りますか(笑)
当初は身体も辛いし余裕も無かったんで…

昨年、アシさんたちと観に行って、大変衝撃受けたんですよね。
これは、『人間が生まれてから死ぬまでの人生』を、
かぐや姫という女性を通して見せた、比喩の物語。

あまりに感動して、もう一度観たくて、別の日、今度は母を連れて観に行き、
母は『ああ、人生ってこうやな…』と涙が出た、と言ってました。

やり直しがきかないことがある』
『ああしておけば良かった』
『違う人生があったのに』

…そういう意味では、このテーマは、大変大人向けです。

けど、一緒に行った20代の若いアシさんたちも大感動していました。
1人が一言『…人生を後悔したくない、と思った』と呟きました。

本来は生き生きと、自由に飛び回っていたかぐや姫。
それを、親の(とくに翁の盲目的な)愛の為に自分を殺してしまった女性。
それに気付いて、後悔したときには、もう遅い。


一見、これは普通の、誰でも知ってる『竹取物語』。
あらすじ「だけ」を追えば、オチも知ってる。そのままじゃん!なーんだ!となりますが、
作品というのは、「筋を追えばいい」というものだけではありません。(`・ω・´)
例えば、ハリウッド王道アクションや、パニックものなどなら、単純に「出来事だけ」を追えばいいでしょう。

でも、こうした一見『単純明快』に見える筋書きを、あえて、改めて描かれる場合には、そこに創作者の意図、奥底に秘められたテーマ性があることが多いのです!。
でもそれは難しいことじゃありません。
なんせ、ベテラン監督の敏腕によって、とてもわかりやすく見せて頂いてるので!

近年だと…私もこの2年観れてない映画が多いのですが…
『ライフ・オブ・パイ』なども、普通に筋を追えば『虎と漂流した少年の話』ですが、その意味と意図を知ったときには、畏怖と同時に、もっと大切な感情もわきあがりました。

単純な物語ほど、実は深いテーマが隠されている。
これ、とっても大切なことなんです!
(勿論、ほんまになんにもない単純明快そして痛快な作品もありますがにひひ


さて、アシNさんに至っては、冒頭から泣きっぱなしだったそうです。
それは、彼女自身の内面で感じていることもあるのでしょうが、
(確かに2回目では私も泣きっぱなしでした。一回目は、あまりにも緊張して最後まで前のめりで派をくいしばり、拳をにぎって固まっていたので)
オチを知ってるからこそ、
あの、幼いかぐや、いえ「たけのこ」を愛でる翁と嫗の姿が
『泣ける』んですね。
わざと、丁寧に丁寧に、尺を取って描いてある!泣けてまうやろ!

これに関してはネタバレも何も、何度も言うように日本人なら全員知ってるんで、
それこそ
『その愛しい子供との別れ』が来ることを知ってるだけに『泣ける』んですよ。

で、全体的に観てると、ひとつ感じたのは
『美女を前にした男性ってアホやなあ(笑)』という…
いや、例の貴公子たち、めちゃくちゃ面白かった(^O^)
内面どころか、外見も噂だけで飛びつく、あのアホさ!(いい意味ですけどね)

これを男性監督が創ってるのも面白い。

翁のあれは、愛なんだけど、分かってなくて。
それも間違ってなくて、という哀れさもありますが…

姫自体、現在に通じるような意志ある女性として描かれていますしね。
ここも大切で、原作とおり「なよなよ」のかぐや姫、を見たきゃ原作読んでりゃいいってなもんで。
歴史物を描くにも、現代人に通ずるテーマ性や、キャラ造形にアレンジするのは、いわば「感情移入させる」常套手段でもありますから。
それに、ここまで生命力溢れた女性だからこそ、あのクライマックスが効いてくるのですね。

ここも、「なにを見せたいか」「なにを描くか」という作り手の目線で描き方が変わるものです。

すでに知ってる物語は退屈かというと、
とんでもない。
次から次に起こる、何気ないシーンひとつひとつに深い比喩、暗喩があるかと思うと、
何一つとりこぼしたくなくて、目も離せませんでしたよ。(゚Д゚)


、暗喩と言えば。
ここから!!!未見の方はネタバレなので、気をつけてください!


これね、当初アシさんたちと5人で観たあと。
私を含めて3人同意見があがりまして…
例の、クライマックス手前の、
捨丸兄ちゃんとの飛翔シーン。
公開中レビュー見ても、ザッと感想検索しても、見つけられなかったんですけどね。


あれ・・・『男女のむつごと』の暗喩じゃない??

あと2人はそれを聞いて
『いやだー!オトナって!!そんなんじゃないわー!あれは喜びの感情だー!」
ヾ(。`Д´。)ノ
…いや、あなた方も成人してるやろ(笑)
でも一応ジブリアニメでそういう連想をしたくなかったんでしょうから、
これを読んで不快になる方もいらっしゃいましたらすみません。


でも、二回目観ても、やっぱり。
かぐやが、トンボ返り出来ないからと、衣を脱ぐシーン(初見もあそこでドキッとした)・・・からの、

空、飛ぶでしょ?
…あそこだけ、唐突でしょ?

ジブリだから空飛ぶのね、とか思ってる人もいたけど、んな訳なくない?
あれが宮崎監督なら、そのままかもしれませんが、高畑監督だよ??みたいな。

「飛んでくる捨丸を、かぐやが抱きとめたり」
「飛んでる間も、上に下に」
「途中の雨も暗喩か」
「極めつけ、が『月が見てる』」

いや、実際、物語的に本当に『月が見てる』んですけどね(笑)

「そのあと、記憶消されてる的なのも、
まあ、月の住人的には、不浄な行為ってこと??」

これは、なにもイヤラシイ解釈でなく、
それも含めて『生』だから、それがまったくないのも意味合い的に逆に不自然じゃない?
という話になったんです。


たけのこが小さい頃の、蛙の重なってるシーンもなぜここで?と、戸惑ったけど(笑)後に婚礼の浮上や、このシーンがあったときに合点がいきましたし、
あと、文字通り思春期に入ったかぐやに『月のものがいらっしゃる』のも、ご愛嬌な引っ掛けですね。
「月が見てる」に関しては、古代から隠語であるそうですし・・・(これについてはアシさんが調べると言っていたので研究発表待ちです)


…まあ、我々の解釈ですけど(^▽^;)
今日も、「捨丸とのあれは絶対あからさまですよ!」「オトナって!」とまた考察で意見を交わし(笑)
まあ、セリフから「このまま強く抱いていて!!」ですからなあ…
我々の後から観に行った別のアシさんもまた、「それは感じた」と。

二回目鑑賞時も、それにしか感じられなかったです。はい。
ヽ(;´ω`)ノ

捨丸側は、この時点で奥さんがいたので不倫になりますが、
それも、『もしかしたらそんな人生もあった』ということですね。
盗みや裏切りすらも、「生」としてありありと描かれる、やっぱり大人のための物語ですね。


私が驚愕した演出が、例の『月からの使者』がやってきたとこですよ!
私は、このシーンで口を開けました。ええ、アホみたいに「こう来たか!」と。

流石に、あそこに関してはレビューなどを見ても、思うところあった人が多かったようなので、
まるで監督と作曲の久石さんになったかのように、私が「してやったり」とニヤリとしてしまいましたが(なぜお前が)

あの曲『天人の音楽』の為に、私は劇場でサントラ速攻購入。
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作品に似合う音楽から、エピソードや物語をインスピレーションで創る私は、
ともかく音楽演出にうるさいことは周りでは有名ですが(笑)

こいつはやられた‼︎

通常なら、ああいうシーンて雅楽とか、荘厳なの来るかと思いきや。
それは、あえていうけど平凡な演出‼︎
拍子抜けした人もいるでしょうが、
私は驚愕のあと、ゾッとした。

怖くて、なんとも言えないあの不思議さ。
あの曲、監督の指示か、それとも作曲者の意向か、どちらにしても天才すぎる

聴いてみたら分かりますが・・・・
あの演出が何を表したかって、
天人には『心が無い』‼︎と一発で見せたんですよね!

『月に帰りたい』=『死にたい』と一瞬でも思ってしまったために、
どうにもならなくなった姫と、それを知った翁と嫗の、悲しみ、慟哭
(それは確実に『死』に抗う人間の姿)、
そこまでの幼き頃からの親子の絆!!を散々見せられたあとの!
あの、生きたい!どうしようやだ!と叫んでる人たちの前に!

なんちゅう…空気読まないな月の使者たちよ!!

月は清浄な場所。
彼らには、地球人…我々人間にある、愛も無ければ、憂い、
悲しみ、悩み、そして歓喜や幸も不幸もありゃしない。
まさしく『心』無用!=死!!(死後の概念はこの際置いといて)
(((( ;°Д°))))

それを、あの素っ頓狂(笑)にも思えるミニマル音楽が、
余計な台詞もなんにもなくして、
「演出で分からせちゃった」んですよ!!
トリハダもんとは、このことだ!
因みに、あの仏像みたいなのいたのは、そういう絵がありますよね、えーと、なんとか来迎図?(適当なうえ、検索もしてませんが…)

まあ相手は、ですからね。
抗うも、簡単にスルッとフワッと親から引き離して、
ちょ、待てよ!やだってば!と生きる喜びをまだ翁と媼に語ってる途中に、
問答無用!に『ハイ行こか』音譜音譜音譜

話を聞いてくれないーーーーー!!。(;°皿°)

音楽と映像から突きつけられる演出の妙!!!職人技でした。
勿論、作品中盤の姫の疾走(失踪?)の時も、息を止めてしまいましたが…
(危うく私に使者が来るとこだった)いやあ、サントラいいですよ。

ラストに関しては、あえて語りません・・・・
いつか地球に帰れるか、姫。
ちなみに私と母は、その直後「ゼロ・グラビティ」をはしごしたため、
感情面が(エピソード的にも)大変面白い流れになりました(笑

いやあ…
『風立ちぬ』観たときも、
衝撃受けて数日ぼんやりして、
「ああ、天才は違う」
「自分が生きてる間にこんな素晴らしいアニメを見せてくださり、ありがとうごさいました」
と思いましたが(こちらも語りそびれてるけど!一杯感想あるんです!)
それは、私が主人公二郎さんに感情移入したのもあり、
「先生を見てるみたいでした」とかアシさん言うし(笑)
あれは「夢を追い続けることの、エゴ、喪失、だがやりきった、一人の男の人生の物語」ですので。
ものを作る人の狂気的ともいえる真摯な気持ちが、そうでない人にも伝わったに違いありませんね。
ともあれ私的に、作画、動画、表現力の高さ、音楽、
これほどまでのハイレベルで観せていただけ、思わず気迫に押され、
「もう日本のアニメは(自分的に)これで最後でいいや」とさえ思わされましたが…


かぐや姫。よもや、まだ魅せられるとは・・・同年に。
私は別にジブリ作品を完璧に網羅しているわけでもなく、
一番好きなのは「ラピュタ」的王道だったりしておりますが、

大御所両監督の「コレが俺の本気だ、みやがれ!!」に、いたく感服しました。
ただただ敬意と感謝が生まれるばかりであります。

幼少期の「ホルス」から「パンダコパンダ」「長靴をはいた猫」etc
諸々のTVアニメでも、両監督の携わった作品を観て育って来た幸せものとして、
この歳になっても、再度心を揺さぶって頂けて、
本当にありがとうございます!

で、捨て丸兄ちゃんとのあれは、
ほんとのとこ、どうなんですか、高畑監督!(職場で意見が割れてるのではっきりさせたいんです(笑))



さて。長かったですが、ほんと、公開中に語りたかったわ・・・
おつきあいありがとうございました。
『天人の音楽』を聴いて寝ますね。
Oo。。( ̄¬ ̄*)

や、ちゃんと仕事あるんでね、起きますんで!(笑)



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